GADHA変容プログラム初級レポート#4

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本記事の目的と構成

本記事は、GADHAが提供する加害者変容プログラムに関心のある方が持つであろう、

  • どんな人が参加するんだろうか
  • プログラムでは何をするんだろうか
  • 自分はこれを受けたら変われるんだろうか

といった疑問に応え、今後のプログラム参加を検討できるように情報を提供することを目的とした「GADHA 加害者変容プログラムとは何か」のシリーズ記事となります。

他記事や加害者変容プログラム自体に関心のある方は、こちらの記事をご覧ください。

初級プログラム参加者の方々による座談会を開催しました。その様子はこちらからご覧ください。GADHA変容プログラム初級参加者座談会

プログラムの構成

プログラムは5つの要素によって構成されています。それらの順に従って、会の様子をレポートします。

チェックイン

チェックインでは、この1週間で感じていたこと、起きたこと、パートナーとの関係などを形式不問で自由に共有します。

「この2ヶ月間くらいあまり連絡が取れていなかったのだけれど、パートナーとの関係に、何か手応えというか、光明が見えたような感じがあります」

「弱さを認められない働き方/生き方をしていたと言うことがよくわかってきた。これを次の世代に残さないようにしたい、と思うようになった」

というように、一週間の状況を共有しあいました。全体として、1ヶ月間の集中プログラムの成果や変化が見られてきたような印象です。

ホームワーク×ケーススタディ

続いて、ホームワークをシェアして、それに対して考えや感想をシェアしていきます。

GADHA変容プログラム初級レポート#3でみなさんに共有したのは「パートナーからの手紙を書く」というホームワークです。

この手紙をケースとして用いて、ケーススタディを行ないます。他の参加者から異なる視点を共有されたり、「わかるわかる」と同意を受けたり、「もしかしてこうなんじゃないか?」というような考えがシェアされたりします。

多くの場合、DV・モラハラ加害者は被害者でもあります。もちろん、だから加害しても仕方ないということではありません。大事なのは、自分がされて嫌だったことを、愛する人に結果的に再現してしまうことを通して、人を傷つけていることを理解することです。

具体例として、1人の手紙を紹介させていただきます。こちらから手紙の本文をご覧ください。

みなさんの手紙をシェアしあうことで、いくつもの共通点が見えてきます。とりわけ多く、かつ本質的であると思われたのは「共同解釈を見る機会がなかったこと、自分もしてもらっていなかったこと」です。

夫婦間でのいさかいやつまずきをどう解消するのか。みなさんの手紙から見えてくるのは「暴力的な喧嘩、言い争い」か、あるいは「無干渉、家に不在の父」というようなコミュニケーションのあり方でした。

そして子供に対して「子はかすがい」という役割を求めるか、逆に「可愛い我が子」とばかりに甘やかしながらも、実際は大人になってもそのような関わり方のまま、つまり「子どもらしい子供」という幻想のレンズをかけたまま接されてきた加害者の皆さんの姿でした。

そしてやはりというか当然と言うべきか、僕自身の親もそのような人間でした。一方で、僕たちの親もまた被害者の側面があることはほとんど間違い無いでしょう。繰り返されてきた加害の連鎖を、気づいた僕たちの世代が終わらせるほかありません。

レクチャー×ディスカッション

続いてレクチャーです。加害者変容理論でまとめている内容を読んでいただいている前提で、さらに踏み込んだ最新の知識を紹介します。

GADHA変容プログラム初級#3では幸福/不幸な関係を作る言動を支える信念についてのレクチャーでしたが、今回は「その信念がどこからやってきたのか、その信念を変えることはできるのか」についてです。

一つの極としては、社会で植え付けられる考え方があります。例えば「男らしさ」と言う形で示される、さまざまな価値観は明確に「劣った、所有される、従属的な」弱者/被害者を必要としています。

そういう弱者/被害者を内包した価値観ですから、加害的なものになるに決まっています。そのような社会的な規範を内面化してしまうということが一つ大きな問題としてあります。

もう1つの極が、やはり親との関係です。これを避けて通るのは不可能でしょう。僕たちは、他者と関わるということがどういうことか、親や家族から学ぶことが多いですから、そこで生きていくために、上記のような価値観を「内面化したうえで、自分が上に立つのだ」と学ぶほかありませんでした。

なぜ加害者は加害的な信念を獲得してしまったのか? という問いに対する回答はひとつです。それは「加害的な信念に基づく行動を取られてきたから」ということです。

では、加害者は変わることはできないのか? というとそんなことはありません。人は、ある環境において良い結果が出るような信念に基づく行動をとります。そしてその信念を強化していきます。

一方で、新しい環境に進んだ時に、その信念に基づく行動が悪い結果ばかり産んだら、その信念とは違う信念に基づく行動を取るようになり、それを学び直します。仕事と同じで、僕たちは学び変わり続けることができるようになります。

しかしここで最も重要なのは「悪い結果」になることを認めることです。相手のせいにばかりして被害者意識を全開にする人間には学びがないのです。関係の危機が問題の自覚につながるかどうか、そして繋がったとて「では代替的には何を学ぶべきか」がわからないことには変われないということです。

GADHAでは積極的にこの「では、どうすべきか」を提供していきます。

ホームワークの説明

今回で初級プログラム4回は終了となりますが、最後に改めてパートナーへの手紙を書いてもらい、それを添削することを一緒にやることは可能だと伝えて終了となりました。

いわゆるロメオメールのような文章ではなく、自分の加害の原因を理解しながら、それとどう向き合って変わっていくのかについて、自分の罪がなんなのか、どれだけ傷つけてしまっただろうかということを真摯に考え、文章にすることを想定しています。

チェックアウト

最後に今回のプログラムに参加して、胸の中にある感情や考えをシェアするのがチェックアウトです。今回は初級プログラムの最終回となりますので、少ししんみりした感じとなりました。

「ほかのプログラムに長く参加してきたが、そこって人も多いし、表面的な関わり、学びが多かった。ここはホームワークも毎回きついけれど、密度が高くて自分とパートナーのことを真剣に考えられたし、なにより頼れる、弱音を吐き合えるチームという感じがあったのが本当に良かった」

「最初は正直不安もあって参加したのですが、参加して良かった。レクチャーはもちろん、苦しみながらホームワークをしてきてディスカッションしたり共感を示しあったりできたのが、プログラムの醍醐味だと思う」

と感想をいただきました。全体として「自分を深く知り、加害性を自覚するホームワークがしんどい」ということ、しかしそれを通して「(普段は弱い姿を人に見せられない自分が)本音で話せる人間関係も持てた」ことが一番の価値だと思ってくださったということだと思います。

やはり加害者変容に関する「知識」は散らばってはいるものの、アクセス可能でさえあれば自分で学べるもの。最後は「弱さを見せあえる関係」が変容の鍵です。今回はみなさん口々に、この不思議な縁で結ばれた関係を大切に思ってくださっていました。

参加いただいた4人のうち、実に3名の方々が続く応用編「親との関係」「加害とケアのパターン分析」へと進んでいきます。引き続きプログラムの報告を続けていきます。

まとめ

以上がGADHA加害者変容プログラム初級第4回のレポートとなります。本記事は、GADHAが提供する加害者変容プログラに関心のある方が持つであろう、

  • どんな人が参加するんだろうか
  • プログラムでは何をするんだろうか
  • 自分はこれを受けたら変われるんだろうか

といった疑問に応え、今後のプログラム参加を検討できるように情報を提供することを目的とした「GADHA 加害者変容プログラムとは何か」のシリーズ記事となります。

他記事や加害者変容プログラム自体に関心のある方は、こちらの記事をご覧ください。

現在、来月の初級プログラム参加者を募集しています。日程は3名以上希望者が集まった時点で調整を開始します。ぜひお気軽にご連絡くださいませ。

終わりに

G.A.D.H.A(Gathering Against Doing Harm Again:ガドハ)は、大切にしたいはずのパートナーや仲間を傷つけたり、苦しめたりしてしまう「悪意のない加害者」が、人との関わりを学習するためのコミュニティサービスです。

当事者コミュニティとイベントの運営加害者変容理論の発信トレーニングなどを行い、大切な人のために変わりたいと願う「悪意のない加害者」に変容のきっかけを提供し、ケアのある社会の実現を目的としています。

当事者コミュニティやトレーニングに関するお問い合わせはこちらから。

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