加害パターン分析会 #03 レポート

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記事の目的と構成

本記事は、GADHA加害者変容パターンランゲージプロジェクトがどのように進んでいるのかを報告し、興味のある方が参加できるように雰囲気をお伝えするものです。

パターンランゲージとは何か

「変わりたい」と願う悪意のない加害者が変容することを目指して、GADHAは独自のパターンランゲージ(以下、PL)を作成・更新・配布して参ります。

パターンランゲージの詳細はこちらよりご覧ください。

出典:クリエイティブシフト「パターン・ランゲージとは」 https://creativeshift.co.jp/pattern-lang/ (2021年7月17日確認)

誤解を恐れずに言えば、GADHA PLとは

  1. こういう状況の時に
  2. こういう加害が頻発するが
  3. こうすればそれを避けられる

という、問題状況→加害行動→解決策/代替行動がまとまったノウハウのようなものです。

加害パターン分析会とは何か

加害パターン分析会は、GADHAのPLを作成するにあたって、加害当事者たちが自分たちの行なっている加害について、PLのフォーマットに則って共有・ディスカッションする会です。

ここでPLのフォーマットとは以下のようなものです。オリジナルから、目的に合わせてアレンジしており、今後も変更の可能性があります。

  • 不穏状況(Risk):このパターンを必要とする不穏な状況
  • 加害言動(Violence):その状況で繰り返してしまう加害
  • 加害信念(Violent Belief):加害を生む考え方
  • 一次感情(Primary Feeling):二次感情である「怒り」と違う本当の感情
  • 配慮信念(Caring Belief):加害を生まない考え方
  • 配慮言動(Care):安心してくつろげる関係を作る言動
  • 安心状況(Relief):配慮によって生じる安心してくつろげる状況

今日の進行

本プロジェクトは最終的にGADHAのPLを作ることを目的としていますが、ひとつ成果物がないとなかなかイメージがわかないだろうということで、その作成を目指しました。

前回の分析会にて、特定のトピックについてまずはエピソードをたくさん共有しました。本日は、それを前提としてそれらに名付けを行うということに焦点を絞りました。

前回は不穏状況を「自分が良いと思う行動を取ったのに、相手がそれに感謝したり労ったり褒めたりしてくれないとき」とし、

そのときに頻発する加害言動として「相手の感情を無視して、自分がほしい言動に誘導する言動」をとることがわかりました(高かったのに、予約するのは大変だったのに、など)。

上記の不穏状況で行う加害言動の背景にある信念とはなんなのか。今回はそこを明らかにしていきました。

事前作業タイム

前回、書き込みながら話すことによって時間がかかってしまっていた部分があり、「事前に書き込める時間を作れば捗るのでは」という提案を受けていました。

そのため、今回は09:30-10:00を事前作業タイムとし、それぞれが先に書き込んでおく時間にしました。

それにより、各プロセスごとの「1.書き込む」→「2.話し合う」→「3.まとめる」の1が不要となり、コンパクトにまとめられるようになりました。

加害信念

早速加害信念についてです。これまでの不穏状況と加害言動をもとに、その背景にある考え方、価値観に踏み込んでいきます。

1.それぞれが事前に書き込んでおいたものに、2.ディスカッションを通して深めたり広げたりして、3.最後にもう1度一人一人がまとめなおしてみたものを以下に書き出します。

  • そちらのために「いいこと」(加害者側が押し付けているだけ)をしているのに自分を評価しないのはおかしい
  • 自分の努力は、全て報われる(自分の中の勝手な「相手像」を相手に投影し、一方的に押しつけている。相手を見ているようで、見ていない。見ようとしない。)
  • 上位意識(仕事をして食べさせている)から下位(家事して家庭を守っている 人)文句を言われると怒ってしまう。
  • 自分の善良な気持ちを受け止めてくれないのは、酷いという気持ち
  • 「自分を評価しないのはおかしい」
  • 「自分は最善を尽くした。もうこれ以上やれることはない」

といった信念が明らかになってきました。

多くの考えがあり、なかなか一つにまとめることができず、ひとまず以下のようなキーワードの羅列を作ってみました。

自分の理想がある、相手にも望む反応がある、100%その通りに動かそうとする、そうしないのは間違っている、なぜなら自分の型が正しいから、許せなさ、相手の気持ちとか考えを理解できない受け入れられないシャットダウンする、自分の感じ方や考え方を100%まるっと理解して欲しい受け入れて欲しい。

しかしこれについて「これだとあらゆる状況や加害に当てはまりすぎてしまい、実践として使いづらいかもしれない」というコメントがありました。

「ひとまず一回やってみないと、この辺の粒度は決定できなさそうだ」というコメントもありました。

どちらもおっしゃる通りです。おそらくこれらの信念はある意味で加害者の多くに共通しているパターンなので、そのままだと抽象度が高すぎるかもしれません。一方で、まだ1枚目のカードなので、何個か作ってみないと適切な抽象度は決めきれません。

これらを統合した結論として、a.とりあえずもうちょい具体的な内容を僕がざっくり決めて先に進む。b.3-5個くらいカードを作ってみたら再調整すると良いだろう、と考えています。

というわけで、今回の加害信念は以下のようにまとめます。

以下の不穏状況において、

自分が良いと思う行動を取ったのに、相手がそれに感謝したり労ったり褒めたりしてくれないとき

以下のような加害言動を行なってしまう。

相手の感情を無視して、自分がほしい言動に誘導する言動(高かったのに、予約するのは大変だったのに、など)

その背景には以下のような加害信念がある。

自分は「いいこと」をしたのだから、その結果と努力はすべて認められ、感謝されるべきだ

と。ここで「いいこと」と鉤括弧をつけているのは、その「いいこと」が相手にとっての現実ではなく、自分が勝手に考えた「いいこと」であることを示しています。実際には相手はそれに喜んでいないのですから、「いいこと」ではないのですが、それをわかっていません。

究極的には相手を喜ばせたいのではなく、自分が喜びたいのだ、ということですね。こう言う人に感謝を強要されることは、本当に辛いことです…。

その他

今回面白かったのは、「上下関係」がその最大の原因なのか、はたまた「上下関係というよりは甘えの感覚?」のようなものが原因なのか、というところで解釈が分かれたところでした。

究極的にはPLプロジェクトのゴールは「自分が、パートナーとの関係において、このように分析して改善ができるようにする能力を身につけること」なので、ここで完全に合意しなければならないわけではありません。

ここに、PLをグループでやるメリットは明確に示されたと感じました。加害者の多くは多声性のある場を不得意とすることが予想されます。

それぞれの個人にそれぞれの世界があると言う認識を持たないからこそ、他者に自分の規範を押し付け、相手の声を聞こうとしないからです。

PLも、単に自分がカードを作って「よし、これでok」とするのであれば独善的で非機能的な内容になりかねません。こうして「異なる正しさがありえる」「自分と他人の見え方は違う」ということを認知すること自体に意義があると思います。

一方でGADHA公式としてはひとまず僕が最終的には決定して進めていきますが、それもあくまで「僕が仮決めで作るもの」にすぎず、より良い形や、異なる形があり得ることは前提として進めていきます。

なにより、最終目標はパートナーとの関係をより良いものにするためのPLを作れる力を身につけることですから、正しさは最初から多元的でありローカルなものです。普遍的なものでもグローバルなものでもない。この考え方自体が、実は加害者にとって根源的に重要だと考えています。