加害パターン分析会 #02 レポート

· pattern

記事の目的と構成

本記事は、GADHA加害者変容パターンランゲージプロジェクトがどのように進んでいるのかを報告し、興味のある方が参加できるように雰囲気をお伝えするものです。

パターンランゲージとは何か

「変わりたい」と願う悪意のない加害者が変容することを目指して、GADHAは独自のパターンランゲージ(以下、PL)を作成・更新・配布して参ります。

パターンランゲージの詳細はこちらよりご覧ください。

出典:クリエイティブシフト「パターン・ランゲージとは」 https://creativeshift.co.jp/pattern-lang/ (2021年7月17日確認)

誤解を恐れずに言えば、GADHA PLとは

  1. こういう状況の時に
  2. こういう加害が頻発するが
  3. こうすればそれを避けられる

という、問題状況→加害行動→解決策/代替行動がまとまったノウハウのようなものです。

加害パターン分析会とは何か

加害パターン分析会は、GADHAのPLを作成するにあたって、加害当事者たちが自分たちの行なっている加害について、PLのフォーマットに則って共有・ディスカッションする会です。

ここでPLのフォーマットとは以下のようなものです。オリジナルから、目的に合わせてアレンジしており、今後も変更の可能性があります。

  • 不穏状況(Risk):このパターンを必要とする不穏な状況
  • 加害言動(Violence):その状況で繰り返してしまう加害
  • 加害信念(Violent Belief):加害を生む考え方
  • 一次感情(Primary Feeling):二次感情である「怒り」と違う本当の感情
  • 配慮信念(Caring Belief):加害を生まない考え方
  • 配慮言動(Care):安心してくつろげる関係を作る言動
  • 安心状況(Relief):配慮によって生じる安心してくつろげる状況

今日の進行

本プロジェクトは最終的にGADHAのPLを作ることを目的としていますが、ひとつ成果物がないとなかなかイメージがわかないだろうということで、その作成を目指しました。

前回の分析会にて、特定のトピックについてまずはエピソードをたくさん共有しました。本日は、それを前提としてそれらに名付けを行うということに焦点を絞りました。

7つの項目のうち、2つほどが概ね名前をつけることができたので、次回以降も進めていきます。

不穏状況

どのような状況の時に、私たちは加害をしてしまうことが多いのか。そのエピソードを、ある程度の抽象度で、参加者のみなさんが名前を提案します。複数出してくださる方もいましたが、あえて「1つに絞るどうでしょう?」と限定させていただきました。

  • 自分の思うとおりに相手が反応してくれなかった時
  • 相手が自分の期待するリアクションを返してくれなかったとき
  • 自分の正しさ・善意を理解し、肯定してほしい
  • こちらがやったことに対して「評価」を得たい時(ほめてほしい)
  • 自分がした善いであろう行為に対して、予想していた反応が帰って来ないとき

といった名付けが行われました。これらの名付けの異同を整理していくと、大きく2つの要素があることが確認されました。

前段は

  • 自分の正しさ・善意を理解し、肯定してほしい
  • 自分がした善いであろう行為に対して

後段は

  • 自分の思うとおりに相手が反応してくれなかった時
  • 相手が自分の期待するリアクションを返してくれなかったとき
  • こちらがやったことに対して「評価」を得たい時(ほめてほしい)
  • 予想していた反応が帰って来ないとき

すなわち「自分が良いと思う行動を取ったのに、相手がそれに感謝したり労ったり褒めたりしてくれないとき」と言えそうです。

今後、この名前はさらにブラッシュアップをすることになると思いますが、今回はこのような着地点に辿り着きました。

加害言動

加害言動は多岐に渡りましたが、いくつかのパターンに分類することが可能だと思われました。また、加害言動は状況に合わせて変わるというより、おそらくさまざまな状況で同じように起きるのではという感覚もありました。ここでは、出てきたものを全て列挙します。

  • 「なんで素直に喜べないのか」「バカにしてんのか」
  • 対戦モードとなり

相手の主張を認めず、相手の言葉へ単純に反論する。

  • 「こんなにやっているのに、なんで、***そんな事いえるの?」
  • 「けんかしたいの?」
  • 落ち込んでいるところを相手に共有し、相手の心情に影響を与える
  • 具体的な言動:「全然だめだった」などの言葉を発して機嫌が悪くなる
  • 不機嫌を相手に出す
  • 不機嫌や沈黙といったネガティブな態度(舌打ち、モノにあたるなど)で不満を伝える
  • 具体的な言動:「○○しておいたんだけど…」「○○で苦労した」など「感謝」を誘導するような言葉や状況づくり
  • 自分の期待に、現実の相手を合わせに行くための態度・アクションを取る
  • 取ってつけたような「アリガトウ/ゴメンネ」を言って、その場を切り上げようとする
  • (ねぎらいのカツアゲ目的の)「大変だったんだよねぇ」
  • 頑張ったのに、その態度か、褒めてほしい。
  • あらからさまに不機嫌な態度(無言、しかめ面、無視)をとる。
  • 「あれ?この間、好きって言わなかったっけ?」
  • 「このお店を予約するのに、すごく大変だったんでだけど」

ここでは、ひとまず大きくまとめて「相手の感情を無視して、自分がほしい言動に誘導する言動」と名付けました。

その他

いくつか、上記の項目とは違うかもしれませんが、重要そうなインサイトがいくつも得られたので、それは今後の「加害信念」「一次感情」などに入りそうだという話になりました。例えば以下のようなものです。

  • 相手の反応や行動を、自分(加害者)がコントロールできると勘違いしている
  • 「オレ、カッケー」「格好いい設定」「厨二病」「いい人」になりたい
  • (相手が喜ぶことというより、人に自慢されるであろう行動、「いい彼氏だね、旦那だね」みたいな)
  • 「妄想の中で生きてる」
  • 「妄想癖がある」「妄想の中の相手が喜ぶ価値の押し付けをしている」

現段階での進捗

カードの形式や文章量なども今後の検討課題ではありますが、ざっくりとこのような状態になってきました。

表面

裏面

また、このGADHA PLのイラストレーターを担当してくださる方を募集しています。有償で依頼させていただきます。これまでプロとして働かれていた経歴などは必要ありません。

DV・モラハラを暴力として認識し、その解決に取り組みたいと考える方と作っていきたいと考えております。少しでも関心のある方はぜひ問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

振り返り

会を終えてのチェックアウトの感想としては、以下のようなものが上がりました。

  • 一人でやったら自殺を考えるほど苦しい自己否定・自己嫌悪に陥るようなことを、「あるある」「これだからダメなんだよね…」「なんでやっちゃうんだろうね」と半ば自分たちに呆れつつ、具体的に加害構造を理解していけるユニークな会だと思う
  • 本当に「使える」カードになるのか心配はあるけれど、やっていることには意味があると感じる
  • 学びがあるのに楽しい。今後もぜひ参加したい

いつも感じることですが、やはりこういった加害を加害と認めた上で「じゃあどうすれば良いのか」を考える場や機会というのを、ほとんどの人は持っていないと感じます。

友達に相談しても「相手にも悪いところがあるよ」と言われることがあったり、そもそも自分の加害を正直に話さないことがほとんどです。

当事者会と比べてもより明確に課題解決に寄った場として、機能していると感じます。ぜひ今後もGADHAの中心的な活動として進めていきたいです。

今後の進め方

まず、イラストまで含めて1枚完成させることを最優先します。「一次感情」「配慮信念」「配慮行動」「安心状況」を言語化します。可能な方は事前に文章を考え、ドキュメントに入力した状態でパターン分析会を開催し、時間の短縮と生産性の向上を進めます。

その後、20-30ほどPLを作り次第、概念や表現を最終調整、年内に「GADHA公式 加害者変容PL ver.2021」として公開します。カードとして実際に生産を行う予定です。

そこからは、個人個人が「自分だけのPL」を作る力を身につけるためのプログラムを行い、年に1度それらをとりまとめて公式PLをアップデートする、という流れを作れたらと考えています。

ニーズが確認された時には、スマホアプリにできたらとも考えています。カードにする際に捨象されてしまった具体的なエピソードなども参照できるほか、よく使う(つまり苦手な状況の)PLや、問題なくできているパターンなどを自己評価・パートナー評価して改善を意識できたり成長を確認できる機能を作れたら良いのではないか、と考えています。

プロジェクトの位置付け

GADHAは誰もが他者を自律した個人として尊重する、支配と従属の関係を強要することもされることもない社会を目指して、DV・モラハラ加害者の変容を支援することで、加害者と被害者のいない、愛ある関係を増やします。

そのためにDV・モラハラ加害者が集まり、学び、語り、作り、実践し、共有することで、愛のあるケアができる人に変わっていく場を作ります。

その場として、ハードル低く気軽に参加できる1から始まり、加害者としての自覚を持ち主体的に学び変わりたい方にはより能動的な学びが可能となるよう参加をデザインしています。

  1. 当事者会による同じ加害者との関係的な学び(動機付け)
  2. 記事や読書など受動的な学び(知識収集)
  3. プログラムや読書会などの協調的な学び(知識理解)
  4. トラブル由来のケーススタディによる実践的な学び(知識実践)
  5. コンテンツ/尺度/パターンランゲージ制作などによる能動的な学び(知識生成)
  6. 次の世代に共有する教育的な学び(知識共有)

GADHA PLプロジェクトは、1と5、後に6に相当する内容になることを意図しています。詳しい活動方針はこちらよりご覧ください。

参加希望の方は、ぜひオンラインコミュニティに参加してください。こちらの問い合わせフォームからご連絡お待ちしております。

終わりに

G.A.D.H.A(Gathering Against Doing Harm Again:ガドハ)は、大切にしたいはずのパートナーや仲間を傷つけたり、苦しめたりしてしまう「悪意のない加害者」が、人との関わりを学習するためのコミュニティサービスです。

当事者コミュニティとイベントの運営加害者変容理論の発信トレーニングなどを行い、大切な人のために変わりたいと願う「悪意のない加害者」に変容のきっかけを提供し、ケアのある社会の実現を目的としています。

当事者コミュニティやトレーニングに関するお問い合わせ、イベント参加申し込みはこちらから。

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