この記事はプログラム参加者などGADHA理論を学んだ人からの質問への回答となっています。基本となる考え方自体は、GADHA理論ページから学ぶか、GADHA加害者変容プログラムに参加することを通して学習ください。
Q.質問
GADHAのサイトなどを見ていると、情動調律という言葉をよく見かけます。これはどういうものなのでしょうか。どうしたら情動調律ができるのでしょうか?
A.応答
情動調律とは、「相手がどのように感じ、どう思い、何を大切だと考えているのか」を自分の感情や考え、判断を交えずにそのまま聞き、受け止め、尊重するということです。
人がなにかの物事に直面した時に大切にする必要があるのが、
1.その物事に対してどう感じたか、
2.そして自分はどうしたいか=その物事に対する自分のニーズは何かということです。
これらは人によって異なります。1については、人の感覚がみな異なるからです。2については、何を大切にしたいか(価値観)が人によって違うからです。
その、相手の価値観やニーズを聞き、ただそのまま「あなたはそう思っているんだね」と受け止め理解しようとすること、これが情動調律であり、人と関わるにあたってとても重要な部分になります。
なぜ重要なのかというと、人間関係とは究極的には「わたしとあなた」の世界というものに収束するからです。そして、2人の世界において最も重要なのは、自分と相手がどうしたら共に幸せに生きていけるかということだからです。
2人の間で共に幸せに生きていくという目的において最も重要なのが、「わたしはどうしたいか・なぜそう思うか」と「あなたはどうしたいか・なぜそう思うか」を知ろうとし、それをどのように擦り合わせるかという点になります。
この時、例えば一般論や正しさなどは考える必要がありません。一般論は時代などと共に変わっていくものですし、正しさは同じ物事に対してであっても、その人の立場や何を大切にしたいかという価値観によって変化する多面性を持つものだからです。
むしろ、「わたしとあなた」の幸せな関係をつくる上では無意味どころか、邪魔にさえなってしまうものなのです。
情動調律とは「自分/相手が何をどう感じ、何を大切にしていて、どうしたいと考えているか」を否定することなく共有し、尊重すること。また、そのために相手を理解しようと努めることであると考えています。
例えば一番わかりやすく具体的な例は「愚痴に対してアドバイスしないこと」です。自分だったらこうするとか、それはあなたも悪いなどと言うことは情動調律ではありません。そのようなことがあったら不安になるよね、疲れるよね、大変だよね、といった関わりが情動調律です。
あるいは「相手が喜んでいることによかったねと言うこと」でもあります。自分にとってそれがどうでもいいことであるとか下らないことであっても、相手の喜びに情動調律することは可能です。なぜなら、そこではあなたの価値観は脇に置かれるからです。
相手の悲しみや喜びといった感覚・感情を尊重し、そのような感覚・感情があるならそういう言動になることは自然なことだと考える。そのような姿勢で人と関わろうとすることが、情動調律です。
終わりに
この記事はプログラム参加者などGADHA理論を学んだ人からの質問への回答となっています。基本となる考え方自体は、GADHA理論ページから学ぶか、GADHA加害者変容プログラムに参加することを通して学習ください。
制作
GADHAは「変わりたいと願う加害者」による当事者団体です。自身の加害者変容並びに加害者の再生産を防止することを目的として、本記事はGADHAメンバーによる協力によって制作されています。
文字起こし:くろとうさん @ktkt_tsk
執筆:さくらさん @sakura_kizu
責任:えいなか @EiNaka_GADHA